5 「LITTLE MERMAID - UNDER THE SEA」Rap by ill.bell
- Sen
- 2019年2月2日
- 読了時間: 6分
「その曲タダで聴いていいんすか!」
リトルマーメイド。ディズニーのあれですね。アリエル。
僕はディズニー映画わからないのですが、アリエルくらいは知っています。
ネットラップって知ってますか?
インターネットに投稿されたラップ音楽のこと、ということになりますが
2ちゃんねるが起源だとか、ニコニコ動画のらっぷびとが最初だとか
正直起源はわかりません。
実をいうと自分が本格的にラップを聴き始めたのはこの「ネットラップ」がきっかけです。
韻を踏む音楽、セルフボースティングが当たり前な音楽。
そこに惚れたのだと思います。
この『LITTLE MERMAID - UNDER THE SEA Rap by ill.bell』は、ネットラップ古参で
今も人気のあるネットラッパーill.bellの楽曲です。
言わずもがな、『UNDER THE SEA』のサンプリング、ビートジャック?になるんでしょうか。こんなのが野放し。大丈夫なのか?
歌詞のバランスが、英語と日本語半々くらいになってます。これはill.bellの本職が「英語教師」であるからです。そう、本職。
ネットラッパーって(現場のラッパーもそうだけど)仕事しながら趣味で音楽を作っている人たちであることが多いんですよね。ラップする英語教員って面白くないですか?
1番のリリックは、
『Under the sea, such a wonderful scene Vaguely between the area "A" and the "B" シュノーケル素潜りで聴き漁る smugly Some will disagree whose hearts are ugly "Winners" or "Losers" nothing rules us Listeners and users always love to make fuss Get off the cruisers, dive the into the water No need to guess, ease off your stress Once upon a time, a princess said "I've gotten bored sleeping on a seaweed bed" "Love to explore up to the shore!!" "Dance on the floor with the sounds HARDCORE!!" Hey Hey Hey! calm down stay cool Underground is not so bad as you think (Down here)brotherhood links surely heartwarming (Up there)money stinks, everyone shrinks Understand? we don't grief and misery As for copyrights, forget'em completely!! Here comes someone's brand new numbers!! What an excitin' shit! no time to slumber.』
となっています。
要約すると
「海はすばらしい!地上の奴らは心が醜い。姫は時折地上に出てハードコアに乗りながら
フロアで踊りたい!って抜かすけど、落ち着けよ!地下はそんな悪くないぜ、みんな最高。」
っていう感じです。
本当のUNDER THE SEAのリリックもこんな感じじゃなかったっけ?地上に憧れるアリエルを魚が引き止める感じだったはず
ここの面白いのは、アリエルでいう深海を「ネットラップ」、地上を「現場のHIPHOP」(もしくはメジャーやJ-pop)に例えているところじゃないでしょうか。
特に、
「As for copyrights, forget'em completely!! Here comes someone's brand new numbers!! What an excitin' shit! no time to slumber.」
の部分、『著作権?そんなことは完全に忘れちまえ!』と言ってます!
楽曲をそのままビートジャックしてラップするのはネットラップの常套手段。100万再生いった曲が著作権で削除、なんてのがあったりするのに対する叛逆、アンチテーゼのリリックです!ここまで思い切り言うとは、かっこいい。。。
『(Under the sea)独特のスメル
(Under the sea)でもごくごく飲める
(Under the sea)コク有りキレ有り 雑味無い
召しませ、ネットラップ』
hookです。まさにネットラップを表していますよね。
独特のスメル、でもごくごく飲める。
確かに変なやつが作る音楽なんだから独特。あんま聞いてる人もいないってことは
決してメジャーなジャンルではない。それは分かってるけど
ごくごく飲めるよ。
ごくごく飲める、独特のスメル。う〜〜ん硬い!!
こう言う7文字くらいのガッチガチの韻、ill.bellはかっこいいんです。
自分のことを「韻魔神」とかリリックに書くくらい韻にはこだわりがあるそうです。
『ネットラップも音楽だ確固とした 俺らの現在と過去を賭した 全力の未来を描こうとした この本能にとにかく応答した 誰がいったい格を落したかは知らんが、とかくDISが伸びちゃうZE★ まぁ?楽しけりゃ良い 楽しめないよりゃ数倍もな!Hey!(アーイ!) Oh what a what a peaceful scenery All the unpleasant memories could be buried 現場の彼らが知らない世界 この青さ君に見せたい 「歌詞が意味不明」とか、「もっと韻踏め」とか、 そういう話ならまた今度な!(な!) 指図されてちゃ魅力無し 我流で狙うミリオンクラシック デカく吹いてみたけどチキンハートライマー 自信などないが ビビんなトライだ! 「RAPではないな」とか、「HIPHOPじゃないな」とか、 そういう話ならまた来世な!(な!)』
2番。
ここからill.bellのネットラップに対する姿勢が伺えます。
冒頭で「ネットラップも音楽だ」と宣言。
確かにネットラップは「とかくDISが伸びちゃう」。
HIPHOPのクセに現場に出ていないとか、「口だけ達者ヤロウ」(T-Pablowのリリックより、『HomeBoy feat.Yellow Pato, Benjazzy』2018)とか、散々言われています。
説明しなくてもここはすんなりわかると思います。
かっこいい、「HIPHOPは差別された奴らの音楽」で、その中でもさらに差別されるネットラップ。
ならばアンチテーゼをラップするしかない。 ああんかっこいい!
韻でいうと、最初は「とした」で踏んでる。
もっというと、「かこうとした」で踏んでる。
確固とした、過去を賭した、描こうとした、とにかく応答した。
そして、格を落とした。
踏むねえ!!ここまでやると本当に聴いてて気持ちがいい。そして意味がスパッと通っている。ここですよ!もはや言葉遊び。
「指図されてちゃ魅力なし 我流でねらうミリオンクラシック」
もすごい踏み方。ミリオンクラシックは、多分「million classic」として、英語の発音ありきの韻の閃きかと。さすが英語教師
「歌詞が意味不明」とか、「もっと韻踏め」とか、 そういう話ならまた今度な!
「RAPではないな」とか、「HIPHOPじゃないな」とか、 そういう話ならまた来世な!
ここのふたつ、面白いですよね。
特に後者、また来世って。もう聞く気ない!おととい来いってのと同じテンションですね。
2番のあとはHOOKが入って終わりです。
でも一番面白いのはアウトロの掛け声。
「その曲タダで聴いていいんすか!」
これ。ネットラップの特徴。ネットにあげるという性質ゆえに、全て無料で聞けるんです。
どんなにクオリティが高くとも、お金は取れないっていうね。
超かっこよくてヤバイナンバーでも、タダで聞ける。
ネットラップの良いところかと!
『飽きたら辞めたっていいんだぜ、100年経ったらまたおいで』
一番最後のかけごえ。
ネットラップは、顔を付き合わせないから非常に「辞めやすい」というところがあります。
現場でバンド組んだら引退するのにも誰かに相談したりとか、色々他人を巻き込んじゃうんでしょう。でもネットだから、勝手に消えてもOKなんです。
(でも「今日もまた消えてったMC達」っていうリリックも他の曲に・・・)
もちろんill.bellはずっと続け流つもりだった。でも辞めていく人に向かって「またおいで」と。100年経ったらっていうのは「俺はずっといるから」っていうメッセージのはず!
ど直球にネットラップを誇りに思う!っていう歌詞でしたね。
それもネットラップらしいスタイルで。
他のネットラップもかっこいいから、ぜひ聴いてみてほしいな!
今度ネットラップおすすめで書くね
一番好きな歌詞は「ネットラップは音楽だ確固とした 俺らの現在と過去を賭した」
です。
お前らネットラップバカにすんなよ。
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