6 「なんとなく生きてる」webnokusoyaro
- Sen
- 2019年10月27日
- 読了時間: 5分
「うんやめようこんなノリは ラッパーなら指立てマザファッカでしょ」
異色のネットラッパーwebnokusoyaro。俺がもっとも好きなラッパーです。普段はふざけた曲しか書かない人で、その代表曲は「俺はハリーポッターだぞ、殺すぞ」や「無洗米をどうしても洗っちゃう歌
」「きつねが俺を見てる」など、くそしょーもないものばかりです。(初期曲は録音環境も多分ショボかったのでAM音源かよっていうレベル、のちに『高いマイクよこせ』という曲を自分で上げている)
どの曲も短いのでちょっと今聞いて見て。Youtubeにあります
また作曲ペースが異常に早く、アルバムにもほぼ必ず30曲収録しています。「毎秒上げろ」と言ったフレーズすら生まれるくらい曲をだすペースが早かった(今はそうでもない)
そんな男がひとりで作ってるアルバムの3作目、「へんなうた」の29曲目であるこのうた。アルバムの構成として、最初クソみたいな曲をたくさん書いて最後になるにつれ真面目なのが聞けるっていう感じなんです。
『ラップしてるけど演者の感覚ゼロ 垢抜けねえ大学生よりも服ダセえしな
まだまだ 客席から 俺が俺を見てる キツネも見てるぜ コンコンコン
俺にしか見えなかった コンコンコン キツネが シェアされて 皆で見てる
不思議 まあ 可愛いから いいか』
1verse、なんか基本的に「俺ラッパーだけどダサいよ」みたいな感じなんですかね。ここでいうキツネは「きつねが俺を見ている」から来ています。
「まだまだ客席から俺が俺を見てる」ってすごい言葉だと思いません??目線は君たちと一緒だと。
『なんとなく生きてる
今もまだ うだつの上がらない日々 の延長に
なんとなく生きてる
ラップで世界を変える気なんか無い』
HOOK。
ラップで世界を変える気なんか無い、ラッパーなのに?
でもそんなもんなんだよ、俺も一緒だよ、っていうメッセージがこの曲一貫しています。
この後も同じように歌詞が綴られて行きます。
3verseなのですが、
『前にも言ったが夢理想とか 本当 何でもねえな
身体の周りに 言葉が増えただけ いわゆる「肩書き」をぶら下げ
「ラッパーでラップしてます」 でも 気持ちは常に
仙台でアホみたいに ゲームばっかしてた時期と
何も変わらない やっぱ うだつ上がらない
でもいいんだ 俺はそれで 別に変わりたくも無い』
ラップ始めても何も変わらないと、なるほど。「身体の周りに言葉が増えただけ」ってとこ、まだ俺も真意をそこまで汲めて無いのですが、「肩書き」いわゆるラッパーとなっただけ、って意味でしょうか?今までつづったリリックを指すのでしょうか。
『これ聴いてる お前のクラスにいる
会社にいる オンラインゲーム仲間の中にいる
パッとしねえカス それが俺だ
ステージ上の 遠い遠い遠い 人間じゃない』
パッとしねえカスだそうです。音楽やってる人ってどうしても縁遠くて、雲の上にいるような気がしますが、そうじゃねえぞって教えてくれています。にしてもクラスにいるパッとしねえカスって、いたけどそういうやつ。
そんなはずは無いと思うけど、うぇぶくそ本人からしたらそうだよっていう。
『普通の人みたいな ラッパーじゃなくて あくまで ラップをする 普通の人 だ』
ええええええそうなの。普通の人なの。
『俺も俺で つらいことあったけど お前もお前でつらいことあったでしょ
うん やめよう もうこんなノリは ラッパーなら指立てマザッファカでしょ
何もない?無意味な日々?に クソみたいなLIFE?なんてもう耐えらんない?
まあ「生きている」って ワンポイントだけ 勝手に 俺が 肯定 だから
なんとなく 生きてろ』
最後にサビを挟んでこの歌詞に繋がります。outro?になるんですか?
辛いことになんてマザファッカ、生きていればwebnokusoyaroが肯定してくれる。
だから、なんとなく、大志なんか抱かなくても、うだつが上がらなくても、
なんとなく生きてろ、と
ああ!なんと!この命令形でいうあたりがすごくwebnokusoyaroらしい気がします。当時高校三年生、受験直前で辛かった時期に優しく「なんとなく生きていれば大丈夫」と伝えてくれたのは一生忘れません。
何があったって、なんとなく生きてるくらいはできるかなって思ったんです。
特に「ラッパーなら指立てマザファッカでしょ」って、なんだか最強じゃ無いですか?ど〜んなきついことも「マザファッカ」で片付けてしまえるような気がしたんです。
そして、
『なんだかんだ きっとみんな カッコ つけた あいつも
カッコつけてない あいつも なんだかんだ きっとみんな
カッコ つけた あいつも クズも エリートも アホも ボケも
どうせ みんな なんとなく 生きてる
だから 踊ろう 無言で』
と締める。
こう、等身大のメッセージがすごく染みるんです。どんなに有名なアーティストでも、ラッパーでも、なんだか「上から言葉を投げかけられてる感」があって、どうも俺は好きになれないっていうパターンが多かったのですが、「パッとしねえカス」からの「なんとなく生きてろ」という言葉が俺にドストライクでしてね!
「それっぽいだけ」のしょうもない音楽家が増えて来たように思える昨今、純粋に一人の人間としてまっすぐにリスナーに言葉を投げかけてくるアーティストって少ないと思います。
みんな辛いことがあって、思い思いの姿で闘ってると思うのだけど
苦戦しててどうしようもない!って人は、「指立てマザファッカ」で片付けて見てはどうでしょうか。
そして、webnokusoyaroのように、なんとなく生きてみてはどうでしょうか?
そうすれば、彼が勝手に肯定してくれるそうです。
ただこの記事ですらこのラッパーを点でしかみてません。今までに出した曲、アルバムを全て聞いた時初めて線となり、彼を理解できるようになるのだと思います。
というわけでみんなアルバム買え!5作めまで出ているから。ちなみに1stアルバムだけは無料でダウンロードできる。音質はAM放送だけど。それ以外はitunesでお買い求めろ。
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